村田朋泰「Omen」

　Mr.Children「HERO」のミュージックビデオやNHK子供番組『プチプチ・アニメ』の《森のレシオ》などを手がけ、コマ撮りのアニメーションで知られる村田朋泰の個展「Omen」がGALLERY MoMo Ryogokuで開催される。

　村田は1974年東京都生まれ、2000年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。ミニチュアの世界の中で、人形の目の動きや手の仕草などによって言葉にはできないもの、些細なことを表現し、繊細な映像作品を発表している。

　06年の個展「俺の路・東京モンタージュ」（目黒区美術館）では、パペットアニメをアートの水準に引き上げ、08年の「村田朋泰展ー夢がしゃがんでいる」（平塚市美術館）でも映像とインスタレーションを組み合わせ、高く評価された。18年3月からは、初期の作品から最新作をまとめた『夢の記憶装置』が全国の映画館で上映されているほか、「アヌシー国際アニメーション映画際」で映像とともにインスタレーション作品を出展し、好評を得た。

　本展では、東日本大震災と福島の原発事故を契機に制作を開始した、「祈り、記録、信仰」がテーマのシリーズ最新作より《松が枝を結び》を上映。1作品目の《翁舞 / 木ノ花ノ咲クヤ森》、2作目《天地》に続く、《松が枝を結び》は双子の女の子を軸に、過去と現在を行き来しながら物語が進む。大震災を思い起こさせる今作を含む5つの物語でシリーズが構成される予定で、村田が長年にわたって制作で試みる「記憶装置」を体現する重要な作品になるという。

　加えて、映像作品のキーワードのひとつとなる「境目」をテーマとした、インスタレーション作品も展示される。