EXHIBITIONS

総合開館20周年記念

ダヤニータ・シン インドの大きな家の美術館

2017.05.20 - 07.17

ダヤニータ・シン 〈ミュージアム・オブ・チャンス〉より 2013

ダヤニータ・シン 〈ミュージアム・オブ・チャンス〉より 2013

ダヤニータ・シン 〈リトル・レディース・ミュージアム−1961年から現在まで〉より 2013 撮影=ノニー・シン

ダヤニータ・シン 〈マイセルフ・モナ・アハメド〉より 1989-2000 東京都写真美術館蔵

ダヤニータ・シン 〈ミュージアム・オブ・チャンス〉 2013 撮影=ステファン・ホワイト

 今、世界で最も活躍の著しい写真家のひとり、ダヤニータ・シンの、日本の美術館では初の個展が開催される。欧米雑誌のカメラマンとしてキャリアを開始したシンは、徐々に外国人が望むエキゾチックで混沌とした貧しいインドのステレオタイプなイメージに疑問を持ち、1990年代後半にフォトジャーナリストとしての仕事を完全に辞め、アーティストとしての活動を開始した。

 シンの作品は、視覚的な小説とも呼べるような、ドキュメンタリーとフィクション、夢と現実、不在と実在が綯い交ぜになったユニークな世界を展開。近年は移動式の「美術館」を考案し、全体を〈インドの大きな家の美術館(Museum Bhavan)〉と命名。詩的で美しい世界のなかに、現代写真・美術が抱える美術館システムやマーケット等の問題、現代社会におけるセクシュアリティや、格差、階級、ジェンダー、アーカイブ、情報等の様々な問題が示唆される。また、従来の写真や写真集という概念を軽々と超えて、写真というメディアの新たな可能性を切り開いており、今後の写真のあり方を考える上でも示唆に富むものになっている。

 本展は、作家の初期の代表作〈マイセルフ・モナ・アハメド〉(1989-2000年)、〈第3の性(ポートフォリオ)〉(1991-93年)、〈私としての私〉(1999年)から、転機となった〈セント・ア・レター〉(2007年)を導入部に、最新作を含むダヤニータ・シンの「美術館」を日本初公開する。