EXHIBITIONS

関口正浩 Warped

児玉画廊 | 天王洲|05.19 - 06.23

関口正浩 参考画像 2017

 関口は、油彩画でありながら絵筆による描写を捨て、油絵具を薄く伸ばして乾燥させた膜を使い、コラージュあるいは切り絵のような技術を駆使して画面構成を行う、という独特の手法で絵画作品を制作している。

 最近のアプローチとしては、切り絵の技術を応用して、線対称の図形を画面上に作り出す作品を制作。これは、同じ大きさで色違いの膜を二枚重ね、作りたい図形の半分の形で切り込みを入れる。それから、二枚のうち片一方を180度反転。向かい合う形となった、切り込み同士をお互いに噛み合わせるように重ねていくと、二枚が完全に重なった瞬間、画面の中心に線対称の図形が現れる。それは、作品から離れて見たときには全く気付かれることなく、おそらくは極めて単純で面白みのない記号のような色面構成としか目に映らないことだろう。

 しかし、間近に見たとき、二枚の膜の層が重ねの前後関係を途中で入れ替えるような不思議なレイヤー構造に目が留まった瞬間、それは類例のない絵画となる。疑いもなく油彩であり、”on canvas”である、という絵画のフォーマットに沿いながら、コラージュのような、切り紙のようなあるいはプリントのような、しかし、そのいずれでも決定的にない作品。発展性の突き当たりに近いところにまで来ているかもしれない絵画のその不可能とも思える境界線破りを膜によって実現しようという確信犯的な意思があるからこそ、堂々と「平面A」に対する歪み(Warped)と捻れを露呈していく。