EXHIBITIONS

こころの扉-清原啓子と倉本麻弓

2018.09.01 - 09.24

清原啓子 久生十蘭に捧ぐ 1982

倉本麻弓 NO.48 私の家 ワニ釣り 2001 Photo by Ichiro Fukuda Courtesy of the Artist

 将来の活躍を期待されながら31歳で夭折した銅版画家・清原啓子と、架空の世界を箱の中に再現する倉本麻弓の2人展が開催される。

 清原は1955年生まれ。久生十蘭や三島由紀夫らの文学に傾倒し、神秘的で耽美な物語性にこだわった濃密な世界を構築した。約10年間で制作した作品は未完成を含む30点のみだが、一つひとつが独特の緊張感を持っている。

 他方、倉本は1976年生まれ。現実とは異質の夢を日記に綴り、側面に穴を開けたボール紙の小箱の中で、夢の中を追体験できるような作品を手がけている。幼少期の倉本にとって夢はつらい現実から逃れるための場所だったが、ある時から夢の世界で遭遇した天災や事件などを通して、「生きろ」というメッセージを感じるようになり、いまでは勇気を与えてくれる場所であるという。

  本展は、それぞれの作家が、心の扉の内側にあるリアリティを独自の方法によって抽出したといえる表現を紹介。また千葉県にゆかりがあり、戦後版画を代表する浜口陽三、深沢幸雄、靉嘔(あい・おう)の作品をあわせて展示する。