海老原靖「flowers」

　ハリウッド映画の女優や子役スター、煌びやかなドレスといった映画の細部をモチーフに、時間とともに人々の記憶からも消えゆくものについて探求する海老原靖。その表現は、ペインティング、写真、立体、パフォーマンスなど多岐にわたる。

　本展では、ピエロ・デロ・フランチェスカの《ウルビーノ公夫妻の肖像》、ゴヤの《裸のマハ》などの西洋名画、アンディ・ウォーホルのセルフポートレートを引用し、作家が訪れた夏の蔵王連峰などを風景に組み込んだ、「花なるものたち」がテーマの新作を発表。イノセント、暴力、性愛、虚しさを内在した悲劇と喜劇が隣あわせにあるような肖像画には、時間の妄執から逃れるようとしているかのように大きく目を見開いている、銀幕の世界に永遠に生き続ける子役スター・マコーレー・カルキンや海老原の友人の姿が描かれる。