EXHIBITIONS

杉浦邦恵 うつくしい実験 ニューヨークとの50年

2018.07.24 - 09.24

杉浦邦恵 電気服にちなんで Ap2 黄色 2002 東京都写真美術館蔵

杉浦邦恵 飛び跳ねる D ポジティブ 1996 作家蔵 Courtesy of Taka Ishii Gallery

杉浦邦恵 (レントゲン)棚のインスタレーション 1994 作家蔵

杉浦邦恵 ジェームス D ワトソン Dp2 2004 作家蔵

 ニューヨークを拠点に活動してきた写真家の杉浦邦恵は1963年、20歳で単身渡米。美術学校では絵画や彫刻がまだ主流という時代に、表現としての写真の可能性にいちはやく注目し、実験的な手法によって制作を行う。魚眼レンズによる画像の歪み効果の使用や、人物と風景のモンタージュ、ソラリゼーション、モノクロとカラー・ネガの併用など、制作のプロセスを重視した表現形式を最初期から模索し続けてきた。

 67年、シカゴからニューヨークに拠点を移した杉浦は、写真の伝統や因習を破ろうとする試みを本格的に進める。ポップアートを始めとする60年代以降のアート・シーンに身を置きながら、アクリル絵具やキャンバスを作品制作に取り入れるなど、写真と絵画を融合させる手法を展開。いっぽう、「写真は光によって描かれるメディアである」という根源的な視点に立ち、伝統的なフォトグラムの手法を用いて植物、動物、人間へとモチーフを発展させながら、独自の様式を生み出していく。

本展では、活動50年を超える杉浦の足跡をたどるとともに、その先駆的な世界観と作品の魅力に迫る。