浦沢直樹展

『20世紀少年』『YAWARA!』『MONSTER』などを手がけたマンガ界の鬼才、浦沢直樹。そのジャンルはスポーツ、SF、ミステリーと多岐にわたり、卓越した画力と巧みなストーリーで多くの読者を魅了してきた。

　浦沢は1960年東京都生まれ。83年のデビュー以来35年にわたり、数々の傑作を生み出した。『YAWARA!』でヒロインに由来するあだ名で親しまれた田村亮子を中心とした女子柔道ブームを巻き起こし、『20世紀少年』では、昭和40年代～近未来までの空気を描き、幅広い世代のファンを獲得した。そして手塚治虫への敬愛をこめた『PLUTO』では、人間とAIの未来を暗示する重要なテーマに正面から挑んでいる。

『20世紀少年』の映画化大ヒットやアニメ化で作品がかたちを変えて拡大するなか、浦沢は同時に2本の異なる作品を連載。これまで積み上げた作品は、150冊3万ページ以上となり、キャラクターの演技、コマからコマへの演出、それらを完成させる秀逸な画力は驚異とも言える。

　本展は、『MONSTER』の最終巻の直筆原稿を丸ごと公開するほか、『YAWARA!』『20 世紀少年』、ルーヴル美術館とコラボレーションした最新作『夢印』など、浦沢の「描いて描いて描きまくる」創作活動の全貌を紹介。ストーリーの構想メモ、秘蔵のイラストやスケッチ、さらに少年時代のマンガノートに至るまで、膨大な数の手稿を通して、そのペン先に込められた圧倒的な熱量に迫る。