EXHIBITIONS

山本浩二

Another Nature × 老松

山本浩二 Another Nature(柿)

山本浩二 Another Nature(柿)

 鮮やかな色彩と揺れ動く描線で、生命力あふれる植物のねじれや枯死する枝幹を表現したシリーズ「Another Nature」など、自然と人間の移ろう時空を解体し、奥行きを伴った2次元絵画に再構築する山本浩二の個展が開催される。

 1973年から3年間、マドリードのシルクロ美術研究所とプラド美術館で古典を学んだ山本。フランス、イタリア、韓国、スイス、イギリス、アメリカなどの国際展に参加し、近年はミラノを中心に精力的に活動している。2009年、ロレンツェッリ・アルテ(ミラノ)において「Another Nature」を発表。13年にミラノの老舗美術出版社・ボッカ書店の天井壁画として同シリーズが常設展示されている。

 11年には、思想家・武道家である内田樹の合気道場「凱風館/能舞台」の鏡板に「老松」を制作。樹木に神が降臨すると信じられた時代に、狩野派の絵師たちが自然や神への畏敬の念を映し出すものとして、能舞台に描いた松図を下敷きにしている。

「老松」シリーズは、永井画廊(東京、2012)にて原寸デッサンが公開され、その後、金沢能楽美術館に収蔵された。これを契機に「老松」は姿を変え、13年夏、ミラノでシリーズ「黒松」として発展。「生きている老松/山本浩二」展(金沢能楽美術館、2014)で「老松(黄)」「黒松」「原寸デッサン」の展覧会が行われ、史上初めて抽象画で描かれた老松として各紙誌に取り上げられた。

 本展は、カンバスに墨と絵具で描かれた2つのシリーズ「Another Nature」と「老松」から、16年のミラノ大規模個展の後に制作された新作で構成される。