EXHIBITIONS

伊藤秀人展

青瓷 釉の力

2018.04.27 - 06.24

伊藤秀人 青瓷大鉢 2017

伊藤秀人 青瓷大鉢 2017

 白磁や練り込みによるうつわ、花器、オブジェなどを手がける陶芸家、伊藤秀人。近年は深い青味を帯びた青瓷(せいじ)による作品を制作し、2017年に白磁、青瓷、練彩技術の保存・伝承に貢献したとして岐阜県伝統文化継承功績者顕彰を受けている。 

 伊藤が学ぶ中国青瓷を代表する北宋時代の汝窯や南宋官窯は、皇帝のために誕生したやきもの。日本で本格的に青瓷が焼成されたのは江戸時代からだが、明治時代以降、日本の趣味人が再び宋時代の青瓷に憧れを示すと、その影響から多くの作家が南宋官窯を目指し青瓷に挑戦した。伊藤もまた独自の美しい曲線とフォルムからなる造形性に、青瓷の釉そのものが持つ力を生かし、古典と現代をつなぐ試みを行っている。

 本展では、重力を忘れたかのように広がり、古の面影を感じさせる肌合いを有する直径約60センチの大鉢3点と茶碗1点を展示。古典の品格と現代の表現をあわせ持つ美のかたちを楽しみたい。