ジョナサン・モンク

　オマージュやパスティーシュ、ダブルイメージ、引用、見立てなどの手法によって、敬慕する現代美術の巨匠たちの作品を再解釈・構成するジョナサン・モンク。今回は、新作の主題として、アメリカのミニマルアート、コンセプチュアル・アートの先駆者、ソル・ルイットによる「100cubes（100個の立方体）」を取り上げる。

　立方体の単純なかたちを連続的に見せることで、視覚的な多彩さを実現するルイットの本シリーズは、複数のペインティングとして存在するのみならず、アーティストブックとしても広く知られる。2001年、モンクはルイットのアーティストブックをフリップブック（パラパラ漫画）として16ミリフィルムで撮影。この試みを経て、見る角度によって絵柄が動き立体的な効果を実現するレンティキュラープリントで「100 cubes」の写真を制作した。

　本展では、完成したレンティキュラープリント写真99点を壁にぐるりと横一列に並べて展示。3次元の対象物を2次元の視覚世界に封じこめたルイットの偉大な作品を再び本来の3次元世界に解放するモンクのインスタレーションを、鑑賞者は会場内を歩き回ることによって体験できる。