EXHIBITIONS

ヘンク・フィシュ

耕された土地の端で

ヘンク・フィシュ コズミック・ダンス #1:海の夢は船 2018 © Henk Visch Courtesy WAKO WORKS OF ART

ヘンク・フィシュ コズミック・ダンス #1:海の夢は船 2018 © Henk Visch Courtesy WAKO WORKS OF ART

 ミュンヘン、ロッテルダム、アントワープなどヨーロッパ各地に設置された公共彫刻や、思想の形態を擬人化した立体作品、詩的なドローイング作品を制作するヘンク・フィシュが日本で6年ぶりとなる個展を開催する。

 フィシュは1950年オランダ出身。ヴェニス・ビエンナーレ(1988)、ドクメンタ9(1992)をはじめ、数々の国際展に参加するほか、西沢立衛が建築した森山邸での展示や、伊東豊雄設計によるビボシティ(シンガポール)、北京でのパブリックアートプロジェクトに携わるなど、アジアでも活躍の場を広げている。近年では、2012年にオランダのアメルスフォールト美術館で回顧展が行われた。

 対象を正確に知るために触れながら造形する制作過程や、素材同士の接触の感触自体の表現など、存在と非存在の境界線に注目するフィシュ。「不可視であるもの」に対する問いかけを続け、ドローイング作品に描かれる図像も、作家本人が「目を閉じても描けるたぐいのもの」と語るように、視覚以外の感覚から導き出されている。

 本展では、形態への新しいアプローチを試みた新作の彫刻12点を展示。これまでと同様、ブロンズ製の鋳造像をベースとしながらも、透けるアクリルやガラス、電気仕掛けの動力、素朴な木片や模型などが組み合わさっている。異なるもの同士が同居しながら、彫刻の周囲には、フィシュ作品のもうひとつの側面である詩的なドローイング約20点が並び、独立した物体ともたらされた空間との相互干渉、関係性の複雑な重なり合いが生み出される。