長谷川利行展 七色の東京

　関東大震災〜太平洋戦争の直前まで、昭和初期の東京を歩き回り、近代化が進む荒川・隅田川沿い、浅草の神谷バーやカフェ、地下鉄駅の賑わい、そして復興進む大東京の光と影を描きとめた画家、長谷川利行の回顧展が開催される。

　1891年京都に生まれた利行は、20代で短歌の道を志し、30歳を過ぎてから上京。ほとんど独学と思われる油絵が二科展や1930年協会展で認められた。しかし生活の面では、生来の放浪癖からか、浅草や山谷、新宿の簡易宿泊所を転々とするようになり、最後は三河島の路上で倒れ、板橋の東京市養育院で誰の看取りも無く49年の生涯を閉じる。

　本展では、近年の再発見作《カフェ・パウリスタ》《水泳場》、約40年ぶりの公開となる《夏の遊園地》、新発見の大作《白い背景の人物》など、代表作を含む約140点を展示。その壮絶な生き様からは想像できないほど明るい輝きに満ち、時に幸福感さえ感じさせる、利行の芸術の全貌を紹介する。