EXHIBITIONS

西加奈子

「おまじない」「“I”beyond」

AI KOWADA GALLERY
2018.06.10 - 06.24, 2018.06.30 - 07.16

西加奈子 ドブロブニク​ "​おめでとう。​"​ 2018 © Kanako NISHI Courtesy of AI KOWADA GALLERY

西加奈子 ドブロブニク​ "​おめでとう。​"​ 2018 © Kanako NISHI Courtesy of AI KOWADA GALLERY

西加奈子 ドラゴン・スープレックス"お前がお前やと思うお前が、そのお前だけが、お前やねん。"​​ 2018 © Kanako NISHI Courtesy of AI KOWADA GALLERY

西加奈子 孫係“私たちは、この世界で役割を与えられた係なんだ。”  2018 © Kanako NISHI Courtesy of AI KOWADA GALLERY

西加奈子 i(アイ) “no7”  2017 © Kanako NISHI Courtesy of AI KOWADA GALLERY

西加奈子 i(アイ) “no8”  2017 © Kanako NISHI Courtesy of AI KOWADA GALLERY

 小説家、西加奈子が文学と同じく情熱を傾ける絵画にスポットを当てた展覧会が開催される。

 西は1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年小説『あおい』でデビューし、13年に『ふくわらい』は河合隼雄賞、15年には『サラバ!』で直木賞を受賞している。『きいろいゾウ』の映画化や、17年に発売された『i(アイ)』が現在12万部を売り上げるベストセラーとなるなど、各方面で活躍している。

 常に小説のテーマを絵画においても表現してきた西は、幼少時から絵画を手がけ、段ボールにクレヨンという素朴な素材に、力強いストロークで描くという独自のスタイルを確立。その作品は小説の表紙絵や挿絵となってストーリーを理解する鍵となる存在でもあり、クレヨンが油絵具のように暑く塗り重ねられた段ボールのタブローには、作家のエネルギーが溢れている。昨年の個展「i(アイ)」では、ギャラリー空間全体を使ったインスタレーションアートを発表し、豊穣なストーリーで鑑賞者を圧倒した。

 2期制で構成される本展は、絵画というかたちでも発揮される西の表現の奥行きを、具象画・抽象画という2つの視点で紹介。前期では、10年ぶりとなる短編集『おまじない』(筑摩書房)の物語にあわせて描き下ろした具象絵画8点を、後期ではアメリカ人と日本人の夫婦に引き取られた主人公「アイ」がアイデンティティを獲得していく物語『i(アイ)』(ポプラ社)の登場人物の心の機微をとらえた抽象絵画13点を展示する。