EXHIBITIONS

関優花「うまく話せなくなる」

rusu「ナオナカムラ」
2018.04.09 - 04.15

関優花 ≒ 2017 撮影=小野田有希

関優花 個展「うまく話せなくなる」 メインビジュアル

関優花 ≒ 2017 撮影=小野田有希

関優花 歌舞伎町24時間マラソン 2016 撮影=林靖髙

 目黒に新しくオープンしたrusu「ナオナカムラ」で、関優花の初個展が開催される。

 関優花は1997年生まれ、筑波大学芸術専門学群美術専攻特別カリキュラム版画コースに在学。努力を曝す行為や無償の献身が得意であると自負し、体重計に乗った作家が体重計に乗せられた巨大なチョコレートの塊と対峙して、自らの体重と一致するまで舐め溶かす「≒」(2017)や、太陽が昇っている間、太陽に辿り着こうと走り続ける「太陽まで走る」(2017)など、ある行為とその結果をパフォーマンスというかたちで多数発表してきた。

 これまでの展覧会に、「知恵ヲcray」(ナオナカムラ、2017)、「ground under」 (SEZON ART GALLERY、2017)、「ニュー・フラット・フィールド」(デジタルハリウッド大学八王子制作スタジオ、2017)と、いずれも2017年のデビューから程なくして積極的に活動を続けている。

 一見すると馬鹿馬鹿しくもありシンプルで明瞭な行為の反復に過ぎない関の作品だが、生活に無意識のうちに溶け込む比較的ネガティブなイメージを持つ行為を、ポジティブな作家が執拗なまでに反復することで既存のイメージから解体し物事の本質をとらえ直してきた。また、パフォーマンス中の観客との会話や距離を特別制限することなく、パフォーマンス特有の場の張り詰めた雰囲気や崇高さを感じさせないなど、作品からはプライベートと表裏一体の作家像が垣間見える。

 本展は、会場となる古民家の空間性を活かしながら、未発表の新作を中心に、これまでのパフォーマンス作品の再演を含めたアーカイブで再構成。新作《うまく話せなくなる》は、「話す」という行為をモチーフに、うまく話そうとする表層的な行為を排除した上で、関自身から溢れ滴るおぼつかなくもひたむきな言葉で伝え続けるという深層的な行為を一連のパフォーマンス作品として発表する。