EXHIBITIONS

ロバート・クシュナー展「未知の霧の中へ」

ロバート・クシュナー Camellia Branch V(部分) 2016 © Robert Kushner Courtesy of DC Moore Gallery

ロバート・クシュナー Camellia Branch V 2016 © Robert Kushner Courtesy of DC Moore Gallery

ロバート・クシュナー Camellia Branch V 2016 © Robert Kushner Courtesy of DC Moore Gallery

 1970年代後期にニューヨークで始まった「パターン・アンド・デコレーション運動」の代表的な作家、ロバート・クシュナーの個展が開催される。

 クシュナーは1949年カリフォルニア州パサデナ生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動。84年、ニューヨークのホイットニー美術館で個展を開催、ヴェネチア・ビエンナーレに2度出展するなど、これまでに世界各地で作品が展示されてきた。日本国内でも広島県立美術館での千住博氏との2人展(1997)や白沙村荘橋本関雪記念館での個展(京都、2015)などがある。また、2004年にはニューヨーク市地下鉄の77丁目駅に2点のモザイク壁画が設置されるなど、パブリックスペースでの大規模な作品も発表。

 ヨーロッパのテキスタイル、マティスをはじめとするフォーヴィスム絵画の自由な描線、琳派の装飾性などの影響を受けながら、西洋と東洋の美意識が重なり合うクシュナーの世界観は、豊かな色彩、自由で有機的な線で描かれた植物と、幾何学の抽象表現を融合させた作品に現れ、大胆で鮮やかな明るさの中には繊細な生への慈しみが込められている。

 本展では、古い楽譜、19世紀の婦人雑誌、辞書、日本の木版画をコラージュした紙に草花を描いたドローイングなど、2010年以降の作品を展示。ノスタルジックな素材に浮かぶ花や葉は、見る者の心をとらえ、時代を越えた未知の霧の中へと誘うだろう。