EXHIBITIONS

『ニューミューテーション -変・進・深化』展

2018.04.14 - 05.27

加藤巧「Clock Works」(GALLERY MIKAWAYA、愛知、2017)

加藤巧「Clock Works」(GALLERY MIKAWAYA、愛知、2017)

西條茜 ルッベルトの頭 2018

髙畑紗依 pieces 2016

 京都芸術センターは、関西圏の芸術系大学を卒業・在籍し、活動中の若手作家を取り上げる新シリーズを始動。今回は、加藤巧・西條茜・髙畑紗依の3名を紹介する。

 加藤は、自身の水彩ドローイングを古典技法のテンペラに置き換えて絵画を制作。一見伸びやかなストロークと自由な配色が感じられるが、その制作プロセスには、材料や描画方法へのロジカルで緻密な実験と実践が存在し、あるかたちをある素材で描く、という事象が深化されている。

 焼き物の特性である中心が空洞であることからもたらされる虚構性に関心を持ち、史実から着想を得た想像上の道具をつくり上げてきた西條。近作では鉱物を窯の中で焼成し、新たな素材として用いる実験的な試みを展開。自然と人為という2つの営みの重なりから生まれる変化を、焼き物を通して見出そうとしている。

 髙畑は、山の稜線や建物の輪郭線など身近な風景をフィルムや紙の上にトレースし、細かく切り出したものを空間に配置するインスタレーションを発表。もとの描線がわからなくなるほどに解体され再構築された作品は、特異な進化を遂げた新しい都市像を思わせる。

 本展では、着想のもととなった対象に、オリジナリティあふれるアプローチを加えて作品を生み出す3名の、制作における「ややこしい」手法に着目。各作家のミューテーション(突然変異)の源を探る。