ホンマタカシ

　葛飾北斎の「富嶽三十六景」を念頭に置きながら、合計36点の富士図の制作するプロジェクトに取り組む写真家、ホンマタカシ。

　ピンホールカメラで撮影されたホンマの富士は、撮影後にデータ化され、ピンホール写真でありながらエディションを有するイメージとなってひとつの山がもつ複数の姿や多彩な表情を現出させる。

　本展では、進行中のプロジェクトからモノクローム・カラーともに新作11点を展示。「オリジナルと複製」という美術と写真をめぐる神話への言及、これまでも度々ホンマが試みてきた、既存のイメージに対する作風の模倣が交錯するかのような「Fugaku」は、約1000年を超えて続く富士をめぐる表象にどのような新しい歴史を刻むのか注目したい。