スーザン・ヘフナ「LISTEN TO」

　YOKOTA TOKYOで、スーザン・ヘフナによる個展「LISTEN TO」が開催される。

　スーザン・ヘフナは1962年ドイツに生まれ。エジプト人の父とドイツ人の母のもとナイル・デルタで幼少期を過ごした後、ドイツへ移住。以後もエジプトとヨーロッパを往来しながら育ち、この多文化的背景が創作の核をなしている。カールスルーエ造形美術アカデミーで絵画と彫刻を学び、フランクフルトのシュテーデル美術学校・新メディア研究所にてペーター・ヴァイベルに師事。現在はドイツのプフォルツハイム大学で教授を務め、ドローイング、ファブリック、写真、彫刻、インスタレーションなど多様なメディアを横断しながら、知覚の根本にある「見る／感じる」という行為を起点に、不可視の社会的・文化的構造を可視化する実践を展開している。

　本展では、布やガラスなどの軽やかで透明な素材と「言葉」によって構成した近作および写真作品を紹介する。ヘフナは、文化や社会のかさなりあう層の「あいだ」に目を向け、人と世界との交感を可視化しようと試みている。「LISTEN TO＝耳を傾ける」という行為を通じて、他者や自然、自己の内に潜む声に気づく姿勢を提示し、世界と自己を結び直すための契機を示している。