EXHIBITIONS

大坂秩加

ささやかな今日のおわり

2018.03.24 - 04.21

大坂秩加 食いしばって穏やかであれ 2018 © Chika Osaka

大坂秩加 食いしばって穏やかであれ 2018 © Chika Osaka

 架空の物語をモチーフに、版画作品を手がける大坂秩加の個展が開催される。

 大坂は1984年東京都生まれ、2011年に東京藝術大学美術研究科修士課程版画専攻修了。修士在学中にシェル美術賞展で審査委員賞を受賞、14年には「VOCA展」佳作賞を受賞した。16年に京都で開催された京都版画トリエナーレにも参加し、発表の場を広げている。

 高度な版画技術を持ちながらもその技法にこだわらず、当初から版画、水彩、油彩と作品を展開し、極めて庶民的で親近感のある人物を描いてきた大坂は、活動初期から様々な世代の女性の日常を描いた短い文章をつけて作品を発表。作品への想像をより掻き立て、短編小説の主人公の断片的な日常を切り取って集約したような要素を強めている。13年の個展「Sの外的要素」では、作品に付随する文章を用いて、ある女の子の人物像を様々な人の視点から浮かび上がらせ、文章の必然性を確固たるものにした。その後も、「絵」と「文章」からなるかるたの組み合わせを利用するなど、文章は大坂の作品に不可欠なものとなる。

 本展は、作家特有の細かな描写とユーモアに溢れたペインティング約8点と版画2点で構成。近年、大坂が関心を抱く演劇の要素を取り入れ、ギャラリー内に様々な人が集うスナック再現して作品を展示する。