アンディ・ホープ1930

　アンディ・ホープ1930は1963年ドイツ生まれ、ベルリン在住。キャリア初期より自らの作品に本名のアンドレアス・ホーファーではなく、「アンディ・ホープ1930」と署名を続け、2010年には改名を行っている。ロシア構成主義とモダニズムが終焉を迎えると同時にスーパーヒーローがコミックに登場し始める「1930年」は、作家にとってのターニングポイントを意味し、「アンディ・ホープ1930」は様々な時空をタイムトラベルするためのフィクショナルなペルソナとしての機能を果たしてきた。

　これまでペインティングやドローイング、立体、映像といった複数のメディアを交えて制作を行い、革新的なインスタレーションも加わるホープの作品には、アール・ヌーヴォーや構成主義、SFコミック、また宇宙現象や通信技術、金融市場に至るまで様々なモチーフが用いられ、既存のカテゴリーには収まらないユニークな図像が現れる。

　本展では、2017年にヴェネチア・ビエンナーレで発表した《Vertical Horizon》やロメックスギャラリー（ニューヨーク）での《#believe》に端を発する新作のペインティングと立体作品で独自の未来表象をさらに展開。ゴミ箱を通して宇宙を覗き込むようなペインティング作品《#believe II》を例に、一連の新作には世俗的な面と形而上学的な面、そして技術の精巧さと表面上の拙さが同居する。