EXHIBITIONS

阿部展也―あくなき越境者

2018.03.23 - 05.20

阿部展也 飢え 1949 神奈川県立近代美術館蔵

阿部展也 花子 1949 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館蔵

阿部展也 『妖精の距離』より《風の受胎》 1937 新潟市美術館蔵

阿部展也 飢え 1949 神奈川県立近代美術館蔵

 戦前から戦後にかけて活躍した画家、阿部展也(のぶや)の多彩な活動に迫る回顧展が開かれる。

 瀧口修造との詩画集『妖精の距離』(1937)を24歳で発表し一躍注目を集めた阿部は、雑誌にて作品と評論を旺盛に発表し、戦前の前衛写真の運動にも重要な役割を果たした。その後1941年からは日本軍報道部に所属し、出征先でポスターや写真を手がけるとともに多くのスケッチを描画。戦後は、シュルレアリスムからアンフォルメル、幾何学的抽象へと目まぐるしく画風の変転を遂げ、数々の国際展への出品や国際会議に参加するなど国内にとどまらない活躍を果たし、晩年の10年近くをイタリアに過ごした。制作のかたわら、日本に向けた海外の美術動向の紹介にも努め、その活動によって日本の美術界に影響を与え続けた。

 本展では、初期から晩年の主要作品に加えて関連雑誌や写真、下絵といった資料、さらには海外作家を含め、阿部に縁のある作家の作品を通して、先鋭的な越境者としての阿部の足跡を多角的に紹介する。