EXHIBITIONS
ヌード NUDE
—英国テート・コレクションより
美の象徴として、愛の表現として、内面を映す表象として、西洋の芸術家たちが絶えず取り組んできたテーマであり、ときに批判や論争の対象にもなってきた「ヌード」。本展は、世界屈指の西洋近現代美術コレクションを誇るイギリス・テートの所蔵作品より、19世紀後半ヴィクトリア朝の神話画や歴史画から現代の身体表現まで、ヌードを主題とした作品が集結する。
展覧会の第1章は、19世紀イギリスのヴィクトリア朝時代、裸体の描画が許されない社会風土のなか、芸術とモラルの狭間で生み出された作品で幕を開ける。その後19世紀後半にはそうした制約から解放され、エドガー・ドガらによる私的な空間を覗き見ているかのような室内での裸体像へと変遷。20世紀初頭のキュビスム、ヴォーティシズムといった芸術動向、ヘンリー・ムーアやアルベルト・ジャコメッティの彫刻など、身体を新たな視点でとらえた表現、歴史と裸体の関わりを検証する。
1920~40年代にはシュルレアリスムとリアリズム、50年代以降にフランシス・ベーコンやウィレム・デ・クーニングによる絵画など、より主観的に、人体の物質性と内面性に対峙した作品が台頭していく。70年代には、フェミニズム、人種、性など、政治的主張を代弁するヌードが登場。展覧会の最終章では「儚き身体」として、儚く移ろうものとしてヌードをとらえるシンディ・シャーマンによる大判の写真作品などが紹介される。
なお、本展の見どころのひとつとなるのが、ロダンが愛し合う男女の姿をとどめたロダンの代表作、大理石像《接吻》だ。20世紀当初のイギリスでは「刺激が強すぎる」との理由から、シーツで覆い隠されていたという本作は世界に3体のみ存在、今回日本初公開となる。
作家の心理や主張、美術史や社会背景などが投影されたヌード。本展は、西洋の約200年の裸体表現を振り返るともに、それら全体が「人間とは何か」というテーマをもかたどっていることに気づかされるだろう。
展覧会の第1章は、19世紀イギリスのヴィクトリア朝時代、裸体の描画が許されない社会風土のなか、芸術とモラルの狭間で生み出された作品で幕を開ける。その後19世紀後半にはそうした制約から解放され、エドガー・ドガらによる私的な空間を覗き見ているかのような室内での裸体像へと変遷。20世紀初頭のキュビスム、ヴォーティシズムといった芸術動向、ヘンリー・ムーアやアルベルト・ジャコメッティの彫刻など、身体を新たな視点でとらえた表現、歴史と裸体の関わりを検証する。
1920~40年代にはシュルレアリスムとリアリズム、50年代以降にフランシス・ベーコンやウィレム・デ・クーニングによる絵画など、より主観的に、人体の物質性と内面性に対峙した作品が台頭していく。70年代には、フェミニズム、人種、性など、政治的主張を代弁するヌードが登場。展覧会の最終章では「儚き身体」として、儚く移ろうものとしてヌードをとらえるシンディ・シャーマンによる大判の写真作品などが紹介される。
なお、本展の見どころのひとつとなるのが、ロダンが愛し合う男女の姿をとどめたロダンの代表作、大理石像《接吻》だ。20世紀当初のイギリスでは「刺激が強すぎる」との理由から、シーツで覆い隠されていたという本作は世界に3体のみ存在、今回日本初公開となる。
作家の心理や主張、美術史や社会背景などが投影されたヌード。本展は、西洋の約200年の裸体表現を振り返るともに、それら全体が「人間とは何か」というテーマをもかたどっていることに気づかされるだろう。