EXHIBITIONS

村山伸彦「塗れた土、影、薄い雪」

2025.02.01 - 02.23
 CAPSULEで村山伸彦の個展「塗れた土、影、薄い雪」が開催される。

 村山は本展に際し、自身の幼少期に読んだなぞなぞの本について振り返りながら、以下のステートメントを発表している。

「ほとんどのなぞなぞは言葉遊びの類いであったり、子供だましのようなものもあったが、そのなぞなぞは少し違っていた。(中略)

 幼いわたしは、この解答にとても大きな衝撃を受けた。自分が見ている世界とは、まったく異なる視点が存在することを、このときはじめて知った。わたしは、とんでもない世界の秘密を知ってしまった気になって、興奮のあまり本を抱えて台所へと駆け出した。そして母を見つけると、得意げにそのなぞなぞを読み上げて、母が答えに詰まるのを待った。ところが、次の瞬間、わたしはさっきなぞなぞの答えを知ったとき以上の衝撃を受けることになった。

 母はいともたやすく、とくに考えるほどのそぶりも見せずに、つまりなんの謎もないといった態度で、なぞなぞの正しい答えを口にしたのだ。わたしは愕然として、そして知った。わたしの顔は、煙と煤で真っ黒だった。『主観』だとか『客観』だとか、そんな言葉を、わたしが知るのは、それからずっと後のことだった」。