EXHIBITIONS

ignore your perspective40「用途」

大谷透/貴志真生也

2018.03.10 - 04.07

展覧会イメージ 画像提供=児玉画廊

 作家のものでも観客のものでもない、ギャラリーから提示する新しい視座を意識したシリーズ「ignore your perspective」を企画してきた児玉画廊。今回は、大谷透と貴志真生也による2人展を開催する。

 大谷は、商品パッケージのロゴマークや規格品の適合表示など、既に意味や役割を持ったイメージに対して手を加えていくアプローチで作品を制作。とりわけ、各メーカーのユニークなロゴマークや商品番号、目の粗さを示す規格表示など様々な情報が効率良く形式化されたサンドペーパーの裏面を好んで使用し、既製品としてデザインされているからこそ現れる規則性の中のほんの隙間や綻びを拾い上げて独自の作品へと変貌させている。

 いっぽう貴志は、木材や発泡スチロール、ブルーシートなどの「工業資材」を組み合わせて彫刻やインスタレーション作品を発表。初個展で手がけた高さおよそ4メートの空間容積を極限まで使い切る1点の巨大な彫刻《リトル・キャッスル》を例に、積極的に彫るでもなく切るでもなく、すでにある造形を利用し規格システムに合わせて新しい造形を組み立てていく手法が使われ、いずれの作品もオーソドックスと逆方向を向いている。

 互いの作品に見られる共通項として「作品の中で述べるべき主題が一つではなく、様々な『重ね合わせの状態』が露見していること」という見解を述べた2人。本展では、双方の作品認識を互いにつまびらかにした上で、共通点やそれぞれの特異点を作家同士ならではの感性から浮き彫りにする。