アヒ・チョイ「365 inspiration」

　ホワイトストーンギャラリー銀座新館で、アヒ・チョイによる個展「365 inspiration」が開催されている。

　アヒ・チョイは1983年兵庫県生まれ。アヒの作品にみられる曲線的なムーヴメントは浮遊感と恍惚感に溢れ、作家本人がもつ内的な冒険心を表現している。2014年のニューヨークでの展示で認知度を獲得、以降アメリカ、フランス、イタリア、韓国、シンガポール、香港などで国際的に作品を発表してきた。ロサンゼルス留学時に西海岸を広く旅し、デス・バレーやグランド・キャニオン、イエローストーンといった一連の国立公園を探索。自然の壮大さや威厳と自己内部との親和性を発展させた。彼の作品は無意識を反映しながら、大胆な腕の動きに任せつつ、記憶のなかから抽出されたシルエットや絵画、文字や言葉を、彼の作品中に偏在するエネルギッシュなラインへと変貌させる。

　本展でアヒは、日常生活のなかで不可避的に視覚に飛び込む「色」のパワーに着目。制作においては、バランスと配合を重視する。「AHHI柄」と称される独特のパターンとテクスチュアを通し、生活のなかに潜む美しさを探究。自らがインスピレーションを受け、表現した色彩が観る人の「直観」にどう作用するのか。価値云々の「思考」より先に、観る人が素敵と感じること―そのシンクロニシティこそ尊い、とアヒは言う。

「AHHI柄」を生活や日常と融合させたインスタレーションは、空間に統一感と独自性を持たせ、視覚的な楽しみだけでなく、五感で体感できる特別な空間をつくり出す。1階は新作のタブローを中心に展示、整然とした雰囲気での鑑賞空間とする。一方、2階は日常との融合をテーマとし、立体や生活ツールなどアートと生活の継ぎ目なき「AHHI柄」インスタレーションを展開する。