EXHIBITIONS

ヘルナン・バス

異郷の昆虫たち

2018.01.18 - 03.11

ヘルナン・バス Unlike other members of his species, camou age is not in his favor(部分) 2017

ヘルナン・バス Unlike other members of his species, camou age is not in his favor 2017

ヘルナン・バス Contrary to popular belief, most people who are bitten suffer no serious damage 2017

ヘルナン・バス While comforting to some, his melodies make for a noisy neighbor 2017

ヘルナン・バス「異郷の昆虫たち」 展示風景

 近年国際的に注目を集めるアメリカ出身のアーティスト、ヘルナン・バスの日本初個展が開催される。

 バスは19世紀のデカダン派の作家オスカー・ワイルドやジョリス=カルル・ユイスマンス、フランスの画家グループのナビ派から影響を受け、象徴性や詩的比喩に満ちた作品を制作。巧みなペインティングは、過去と現在、風景画と抽象画の絵画的しきたりの間で揺れ動き、古典的ロマンティシズムをたたえる画風のなかで、派手な色彩の対比と装飾的な主題によって歴史的で神話的な物語が編み出している。また、物憂げで儚ない佇まいの青年像は、アーティストが「ファッグ・リンボー(Fag limbo)」と呼ぶ少年期から大人へと移行する間のどちらつかずの危うげな状態で、時が止まったかのように表現されている。

 本展では、アーティストが近年手にした昆虫学の古書籍『海外の昆虫―その構造、生態と変態の報告』(1874年出版)から着想を得た新作ペインティングとドローイングを発表。バスは、本が全般にわたり昆虫たちの様子を詩的に記述している点が、19世紀ヨーロッパで軟弱な男性たちを描写する際に「ダンディー」と呼んで表した点が重なることに着目し、エキゾチシズム漂う植物や扇などのモチーフに囲まれて、蛹から羽を伸ばそうとする変態中の蝶や、捕食するため巣に身を潜める蜘蛛などとして若者の肖像画を描く。