EXHIBITIONS

真島直子

地ごく楽

2018.03.03 - 04.15

写真左右ともにー真島直子 妖精 2012 個人蔵 撮影=宮島径 写真提供=ミヅマアートギャラリー

真島直子 妖精 2012 個人蔵 撮影=宮島径 写真提供=ミヅマアートギャラリー

真島直子 妖精 2012 個人蔵 撮影=宮島径 写真提供=ミヅマアートギャラリー

真島直子 地ごく楽 1999 個人蔵

 地獄と極楽の重なりを意味する「地ごく楽」。真島直子は、「地ごく楽」がテーマの作品を継続的に手がけてきたアーティストだ。真島は1944年愛知県名古屋市生まれ。68年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業し、約50年間にわたって国内外で作品を発表してきた。

 真島には、1959年に潮岬に上陸し、紀伊半島から東海地方を中心に多くの被害者を出した伊勢湾台風の遭遇経験がある。当時15歳だった真島にとって、その経験は強く記憶に残り、生死に対する畏敬を持って、初期からこれまで精力的に制作を続けてきた背景のひとつになっている。

 白い大画面に鉛筆のみで細密描写を行なった、分裂を繰り返す細胞や生命体を思わせる「鉛筆画」や絵画、色とりどりの布や糸、身近にある椅子、廃材などを用いた、色彩豊かで鮮烈な印象を与えるオブジェは、真島の作品の特徴のひとつだ。作家はこうした作品を通して「地ごく楽」の世界に生きる人間の本性を表現し、鑑賞者に自らの本性と向き合うことを促してきた。

 地元・愛知県で初の大規模個展となる本展では、「地ごく楽」をはじめとした代表シリーズに初期作品と油彩画の近作を加えて、作家の創作の歩みを紹介する。