EXHIBITIONS

庄内の美術家たち13

秋野松堂

2018.02.03 - 03.04

秋野松堂 暁富士図 昭和15(1940)年 軸装一幅 致道博物館蔵

秋野松堂 暁富士図 昭和15(1940)年 軸装一幅 致道博物館蔵

 郷土の芸術文化史を見直し、庄内にゆかりの作家を紹介するシリーズの第13回では、明治から昭和にかけて郷土で描き続けた、秋野松堂の画業に焦点を当てる。

 松堂は明治13(1880)年、西田川郡大山村安良町(現・鶴岡市大山)で国学者・秋野庸彦の次男として誕生。大山小学校を経て、荘内中学校(現・鶴岡南高等学校)へと進んだ松堂は、日本画家の武藤鶴城に画技を習ったといわれている。

 明治32(1899)年、中学校を卒業した松堂は早稲田大学文学科へ進学し、上京。画家の奥原晴湖とその養女・晴翠に師事し、画業に励んだ。しかし、加茂の本家を継いでいた弟・定廣が没したことで大学を卒業後に帰郷、本家の養子となる。加茂の秋野家は庄内で3本の指に数えられる大地主であり、家督を継いだ松堂は郷里の発展のために様々な社会事業に尽力した。

 いっぽうで、書画も精力的に続け、自ら南画の会を興して門人の育成に従事。山水のほか花鳥にも優れ、写生に通じた富士図など多彩な作品を残し、昭和32(1957)年にこの世を去った。

 本展では、高い画技を身につけながらも中央画壇に出品することなく、郷土のために生きた孤高の画家の作品約50点を展覧する。