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EXHIBITIONS

企画展

中野裕介/パラモデル展 よろぼう少年、かなたの道をゆく▷▷▷《俊徳丸伝説》であそぶ

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 東大阪市民美術センターで、企画展「中野裕介/パラモデル展 よろぼう少年、かなたの道をゆく▷▷▷《俊徳丸伝説》であそぶ」が開催される。

 東大阪を縦走する鉄道線の駅名である「俊徳道」は、物話『俊徳丸伝説』に由来している。河内国高安(現・八尾市高安)の長者の息子・俊徳丸はあるとき、失明し、病に侵され、天王寺に逃れる。よろめきながら歩き瀕死で過ごすなかで、観音に祈ることにより病が癒えるという物話で、この伝説をもとに能楽『弱法師』、説経節『しんとく丸』、人形浄瑠璃や歌舞伎の『摂州合邦辻』といった様々な古典芸能や、三島由紀夫の戯曲集『近代能楽集』、寺山修司の舞台作品『身毒丸』などが生まれた。盲目の俊徳丸が高安から四天王寺へ行き来した道が「俊徳街道」と言われている。

 本展では、鉄道玩具のプラスチックレールをつなげ、青いラインが空間中を占拠してゆくインスタレーションで注目される現代アーティスト・中野裕介/パラモデルが、自身の出身地である東大阪に伝わる《俊徳丸伝説》をモチーフに制作した作品を展示。

 中野は、ユニット活動以前から欠如と創造の関係に興味をもち、地元の《俊徳丸伝説》に出会ってから十数年にわたり、リサーチや作品制作を続けてきた。壁や床に這わせる青いレールに完成はなく、《俊徳丸伝説》にまつわる芸能や文学をもとに制作した巨大なドローイングや複数の映像を連結させながら、東大阪を縦横に走る「道」となり、河内平野を蛇行する「川」となって、東大阪市民美術センターを架空の巨大なまちへと変貌させていくことだろう。

 過去と現在、現実と想像が交錯する作品空間のなかで、目が見えない俊徳丸がよろよろと、しかし健気に「俊徳道」を歩く姿を想像しながら、欠如や障害が創造の源泉となりうることを感じてほしい。