絹谷幸太展 ー宇宙からのまなざしー

　√K Contemporaryで、「絹谷幸太展 ー宇宙からのまなざしー」が開催されている。

　絹谷幸太は、イタリアのローマとヴェネチアで幼少期を過ごし、日常の中で石畳や噴水彫刻に触れ、石の心を感じ取ったという原体験をもとに、そのメッセージを表現してきた。在学中から遺跡や古代石彫の学術調査など、石の研究や海外での滞在制作などを行い、その活動の中で、ブラジルの青色花崗岩に魅せられた絹谷は、東京藝術大学大学院卒業後の2003年から文化庁新進芸術家海外留学制度によりサンパウロ大学大学院に留学。2008年にはブラジル日本移民百周年記念モニュメントを制作し、サンパウロ州カルモ公園にて設置されている。

　本展の出展作品、「Infinite Arc/無窮（むきゅう）の弧」は半径数キロメートルに及ぶ極大円環構造の一部を構成するような作品で、可視化されている領域外に、どこまでも続く不可視の無限のつながりを感じさせる。鑑賞者にこれから創造する世界のあり方を提示するかのような絹谷の作品群は、国境や人種という枠組みを超えて「地球人」として生きる私たちに、地球や人類があるべき姿を示す。地下から2階にかけて大型のインスタレーション作品から小品までを展示し、石の声を造形化する絹谷の制作姿勢を五感で体験できる展覧会となっている。