EXHIBITIONS

フェナ・シリング「Blush Unseen」

LAID BUG
2024.04.12 - 05.04

フェナ・シリング For animation

 LAID BUGで、フェナ・シリングによる個展「Blush Unseen」が開催される。

 フェナはアムステルダムを拠点に、ヴィジュアルアーティストとして活動する傍ら、DJとしても活躍。これまでフェナのコラージュワークは、所有する膨大な数の古い書籍がおもなソースになっていた。フラットベッドスキャナーを使用した特殊なスキャニング技術によって素材を抽象化し、その意味を置き去りにすることで、鑑賞者との非言語的なコミュニケーションを試みる、いわば「スキャナーを絵筆のように用いた抽象絵画」と呼べるアプローチだ。
 
 同廊で2度目の展示となる本展では、スキャニングしたイメージをAIに学習させて生成したマテリアルを積極的に取り入れた作品群を紹介。スキャンという身体的感覚を通じて取り込まれたイメージと、AIが自動生成したオブジェを融合することで、有形とデジタルの境界を曖昧にしようとするフェナの新しい試みに触れることができる。

 身近なモチーフを抽象的に解釈し、再形成するというプロセスは、DJとしても活動するフェナの、音楽との親密な関係性に起因していると読み解くことができる。フェナがDJとしてプレイするダンスミュージックは、それ自体が強いメッセージを持つわけでなく、時間軸に配置されエフェクトされミックスされることによって、受け手それぞれの感情を揺さぶる、非言語的で抽象的な表現といえる。カンディンスキーが音楽からの影響を抽象絵画へ昇華したように、オスカー・フィッシンガーが抽象的な音楽アニメーションに取り組んだように、フェナもまたDJ的/音楽的なフィーリングをヴィジュアルアートへと昇華しているのではないだろうか。