EXHIBITIONS

織物以前 タパとフェルト

2017.12.07 - 2018.02.24

墓地に広げられたタパ(フィジー) © 飯田裕子

墓地に広げられたタパ(フィジー) © 飯田裕子

パプアニューギニア ノーザン州マイシン族のある家系に伝えられた儀礼用タパ。腰巻として用いられ大樹の文様 が施されている。 所蔵=福本繁樹 撮影=益永研司

フィジー ラウ群島モゼ島の肩掛け。紙のように薄く軽やかな仕上がり。 所蔵=福本繁樹 撮影=益永研司

トンガでのタパづくりの様子。樹皮をハンマーで打って伸ばし、白生地を作る。 写真撮影・提供=福本繁樹

コンヤのフェルト職人、メハメット・ギレギチェさんの工房のようす(1997 年)。縮絨が終わり、敷物の表面に 剃刀を当てて白い毛をカットし色を鮮やかに浮かび上がらせて仕上げる。 写真撮影・提供=長野五郎

遊牧民が羊飼い用に用いるマントで、現地ではケペネックと呼ぶ。同じくコンヤのフェルト職人、メハメット・ ギレギチェさんが制作した。 写真撮影・提供=長野五郎

 身近にある植物や羊毛を使い人々の手を介して生み出された原初の布であり、衣服だけでなく儀式や結界、住居の装飾などの用途で暮らしと密接に関わり、長く利用されてきたタパとフェルトに焦点を当てる。

 本展では、南太平洋の島々に三十数年来通いながらタパ研究を続ける福本繁樹と、主に1990年代に東西アジアで圧縮フェルトの技術調査を行った長野五郎らによって収集された資料約60点を通して、織物以前から伝わる不織布の世界を紹介する。パプアニューギニア、フィジー、トンガなど地域ごとに異なる文様や色合いを持つタパを展示するほか、フェルトコーナーでは、伝統的な技法による敷物から希少な遊牧民のマントなどを展示。さらに、制作に使われる材料と道具類の展示や、制作工程を追ったスライドショーの上映も行う。