EXHIBITIONS
Fabio Viscogliosi and Richard Woods The Cabin
JPSギャラリーで、ファビオ・ヴィスコリオージ(Fabio Viscogliosi)とリチャード・ウッズ(Richard Woods)の展覧会「The Cabin」が開催されている。
ファビオは1965年フランスのウラン生まれ。現在はリヨン(フランス)とジュネーブ(スイス)を拠点に活動している。コミック、文学、バーレスク映画、グラフィック・デザインなど、様々な影響からインスピレーションを得たペインティングとドローイングを中心に制作。フォビオの作品は通常、無題であったり、お気に入りの本や映画からの引用や歌にちなんで名づけられたりしている。ロベール・ブレッソンの「Not to use two violins when one is enough」という言葉は、アーティストとしてのフォビオの作品をもっともよく表していると言える。
リチャードは1966年イギリスのチェスター生まれ。90年にロンドンのスレイド・スクール・オブ・アート(Slade School of Fine Art)を卒業し、彫刻家としての修業を積む。リチャードは、ホームセンターやDIYの文化に対して非日常的なアレンジを加えた建築インスタレーションや構造物の再構築で知られている。作品の特徴は、漫画のような装飾的な表面、大胆なパターン、鮮やかな色彩だ。第50回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展でヘンリー・ムーア財団の展覧会の目玉として、回廊の中庭を塗り替えたこともある。
本展では、ふたりの創造性と創意工夫のユニークな融合をミューズとするデュオ展となっている。リチャードは、高さ3メートルのキャビンの遊び心にあふれた大作を含む、印象的な建築インスタレーションを展示。フォビオは、そのキャビンのなかで繰り広げられる物語を描くため、独特のフラットでコミカルな画風で、映画の絵コンテを思わせる一連の絵画をつくり上げた。
伝統的なイギリスのバンガローのようにデザインされたリチャードのインスタレーションは、今日の住宅危機、ジェントリフィケーション(都市の高級化)そして複数住宅所有の急増に対する説得力のある論評と言える。リチャードの象徴的な漫画のスタイルを建築物に取り入れることで、家を所有することが実現不可能な架空の概念であることを風刺。本物の窓も、ガラスも、アクセス可能な玄関ドアもないキャビンは、鑑賞者に自分が住めるとは思えない夢のような状態で存在している。
いっぽう「The Cabin」がファビオの脳裏に浮かんだのは、それがいかにスケッチや熟練した職人の技を彷彿とさせるさりげない作品であるのかということだった。デザインと機能性を両立させなければならないキャビンの建築に似て、ファビオの絵画は隠喩的であると同時に具体的だ。フォビオの強い映画的なキャラクターは、音楽を聴いていても「ドア、窓、ガラスの屋根で貫かれた箱」と作家が表現する普通の部屋に立っていても、鑑賞者の詮索好きな視線に気づいていないように見える。
従来は地味な建築物と思われていたキャビンを、リチャードはジェントリフィケーションを象徴する建築物に変貌させ、ファビオは魂を揺さぶる物語を共有する空間として提示している。リチャードの大掛かりなインスタレーションとファビオの内省的なペインティングは、ダイナミックな視覚的対話を生み出し、ふたつの異なる芸術スタイルの融合が互いを増幅させる、学際的な相互作用の重要性を強調している。
ファビオは1965年フランスのウラン生まれ。現在はリヨン(フランス)とジュネーブ(スイス)を拠点に活動している。コミック、文学、バーレスク映画、グラフィック・デザインなど、様々な影響からインスピレーションを得たペインティングとドローイングを中心に制作。フォビオの作品は通常、無題であったり、お気に入りの本や映画からの引用や歌にちなんで名づけられたりしている。ロベール・ブレッソンの「Not to use two violins when one is enough」という言葉は、アーティストとしてのフォビオの作品をもっともよく表していると言える。
リチャードは1966年イギリスのチェスター生まれ。90年にロンドンのスレイド・スクール・オブ・アート(Slade School of Fine Art)を卒業し、彫刻家としての修業を積む。リチャードは、ホームセンターやDIYの文化に対して非日常的なアレンジを加えた建築インスタレーションや構造物の再構築で知られている。作品の特徴は、漫画のような装飾的な表面、大胆なパターン、鮮やかな色彩だ。第50回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展でヘンリー・ムーア財団の展覧会の目玉として、回廊の中庭を塗り替えたこともある。
本展では、ふたりの創造性と創意工夫のユニークな融合をミューズとするデュオ展となっている。リチャードは、高さ3メートルのキャビンの遊び心にあふれた大作を含む、印象的な建築インスタレーションを展示。フォビオは、そのキャビンのなかで繰り広げられる物語を描くため、独特のフラットでコミカルな画風で、映画の絵コンテを思わせる一連の絵画をつくり上げた。
伝統的なイギリスのバンガローのようにデザインされたリチャードのインスタレーションは、今日の住宅危機、ジェントリフィケーション(都市の高級化)そして複数住宅所有の急増に対する説得力のある論評と言える。リチャードの象徴的な漫画のスタイルを建築物に取り入れることで、家を所有することが実現不可能な架空の概念であることを風刺。本物の窓も、ガラスも、アクセス可能な玄関ドアもないキャビンは、鑑賞者に自分が住めるとは思えない夢のような状態で存在している。
いっぽう「The Cabin」がファビオの脳裏に浮かんだのは、それがいかにスケッチや熟練した職人の技を彷彿とさせるさりげない作品であるのかということだった。デザインと機能性を両立させなければならないキャビンの建築に似て、ファビオの絵画は隠喩的であると同時に具体的だ。フォビオの強い映画的なキャラクターは、音楽を聴いていても「ドア、窓、ガラスの屋根で貫かれた箱」と作家が表現する普通の部屋に立っていても、鑑賞者の詮索好きな視線に気づいていないように見える。
従来は地味な建築物と思われていたキャビンを、リチャードはジェントリフィケーションを象徴する建築物に変貌させ、ファビオは魂を揺さぶる物語を共有する空間として提示している。リチャードの大掛かりなインスタレーションとファビオの内省的なペインティングは、ダイナミックな視覚的対話を生み出し、ふたつの異なる芸術スタイルの融合が互いを増幅させる、学際的な相互作用の重要性を強調している。