EXHIBITIONS

現代版画の展開

2017.04.08 - 06.25

横尾忠則 「第6回東京国際版画ビエンナーレ」展より 1968

山本容子 To the park 1977

恩地孝四郎 フォルム No.14 グロテスク(II) 1952

木村秀樹 Pencil 2-2 1974

 1950年代以降、駒井哲郎、棟方志功、浜口陽三らの版画作品がサンパウロ・ビエンナーレなど海外の美術展で相次いで入賞し、版画は現代美術の重要なジャンルとして日本でもあらたに注目されるようになった。1957年には東京国際版画ビエンナーレ展が始まり、戦後の日本で初めて国際的な美術選抜展が開催される。60年代には大衆消費社会を背景にポップ・アートが美術シーンを席巻し、引用・複製されたイメージの表現に版画が多く使われた。そして70年代になると、コンセプチュアル・アートなど先鋭的な現代美術の作家たちが版画の特質を積極的に表現手法に取り入れるようになる。またその頃から現代版画を専門とするギャラリーやコレクターが増え、版画工房が設立され、複数の版画雑誌が創刊されるなど、版画ブームと言われる社会現象まで起きた。

 本展では、そうした1950年代から70年代への展開を作品により回顧しつつ、和歌山県立近代美術館が1985年から5回にわたって開催した和歌山版画ビエンナーレ展に入賞した国内作家の作品を見直す機会となる。また、技術革新により、版画の概念がますます急速に変化していく現在、その現代性はどこに向かっていくのかを問い直す。

この展覧会では、そうした1950年代から70年代への展開を作品により回顧しつつ、当館が1985年から5回にわたって開催した和歌山版画ビエンナーレ展に入賞した国内作家の作品を見直します。和歌山版画ビエンナーレ展の特長は、版画の複数性にこだわらずモノタイプの応募を認めたことと、大きさを無制限としたことにより、従来の版画の概念を拡大させる方向に舵を切ったことだったといえるでしょう。

技術革新により、版画の概念がますます急速に変化していく現在、その現代性はどこに向かっていくのでしょうか。あらためて問い直す機会にしたいと思います。