谷敷謙 個展「Boundary Laundry」

　FOAM CONTEMPORARYで、アーティスト.谷敷謙による個展「Boundary Laundry」が開催されている。

　谷敷は1983年東京に生まれ、幼少期をアメリカのカリフォルニア州サンディエゴで過ごす。帰国後、服飾を学んだ谷敷は20代のキャリアの大半をアパレルシーンで過ごしながら、アーティストとしてのキャリアをスタートさせた。多種多様な出自、文化背景を持った人々に囲まれた幼少期の経験し、衣類が人々の生活や人生にもたらす影響を知ったことが、現在の谷敷の創作活動にも大きな影響を与えている。

　谷敷の絵画制作のプロセスの根底には、「語り継ぐ」という営みがある。「人生の抜け殻」として収集した、誰かの記憶や匂いの染みついた衣類を素材として扱い、持ち主の人物像を解釈するところから制作をスタートさせる。ひな人形の制作方法として使われる木目込みという技法を用いており、「未来を想う／願う」ための人形制作のテクニックを、「想われた／願われた未来」のさらにその先へ渡すためのモニュメンタルな絵画技法へと昇華させている。

　本展は、Boundary（境界）なくフラットな世界を描きたいという谷敷の想いから「Boundary Laundry」と題されている。作品に描かれる多種多様な人物は均等な要素として扱われており、そこには幼少期にアメリカで目のあたりにした、あらゆる人種、文化が混和した社会のあり様が奥底にあると言える。Laundryは、混成性のたとえとして絵画上に現れる。

　本展では、東京オリンピックのスケートボードメダリストで、谷敷とも親交のある中山楓奈選手をモチーフにした作品を含む新作約20点を発表。