宇治野宗輝 個展「Lost Frontier」

　ANOMALYで、宇治野宗輝の個展「Lost Frontier」が開催される。

　宇治野宗輝（1964〜）は「すべての工業製品は戦争に通じていて、すべてのDIYアクティビティは革命に通じている」という原理に基づき、DIYの技術で美術作品を制作してきたアーティスト。

　かつて存在した帝国主義時代の未開拓領域・境界を表す言葉「Lost Frontier」をタイトルに冠した本展は、新作の映像作品、サウンド・スカルプチュアと映像の複合作品、日本起源でない巻き寿司シリーズのペインティングという3要素で構成される。

　映像作品の《The Theme from Lost Frontier》では、鉄道模型、植民地支配的な広告と観光の絵葉書、土産物のマグカップ等をとらえ、文字通り地上の「Lost Frontier」を扱う。これを宇治野の実母が語る「満洲」を映しだす《Lost Frontier》とともに展示し、日本とアメリカと中国 （満洲）との関係を相対的に照らすという。

　本展は、20世紀戦前の植民地主義から戦後を経て、今も大量に生み出され続けるマスプロダクトの実物とそのイメージの断片で構成され、そして作家自身の個人的経験が大きな外交史に接続し、現代への批評的視点が感じられるだろう。