中島りか「□より外」

　TALION GALLERYで、中島りかによる個展「□より外」が開催されている。

　中島りかは1995年愛知生まれ。都市そのものに介入しながら、サイトスペシフィックなインスタレーションやパフォーマンス、映像、写真などを発表。その表現においては、私的領域と公共空間の関係やリミナリティ、中間性といった概念を手がかりに、サイン、シンボルといった記号論的な表現を用いるといった特徴が見られる。

　本展タイトルは「垣より外」という、仏教のお経がキリシタンの死者の棺の中に入らないように唱えるオラショ（祈りの言葉） から引用されたもの。長崎の隠れキリシタンの葬儀で使用される「経消し」と呼ばれる儀式をもとに、中島がこれまで「プライベートな領域」をあらわす記号として扱ってきた正四角形の記号を代入。ここにはまた、西洋由来の現代美術をひとつの宗教性の顕現としてとらえ、展示空間のホワイトキューブも記号的に示している。

　会場では、内側で入れ子状になりながら、対立しながらも混じり合う信心や、その様式を主題とした展示が展開されるという。