EXHIBITIONS

山本和真 個展「Formless Sky」

2022.12.03 - 12.25

山本和真 Formless SKY1 2022

山本和真 Formless SKY3 2022

山本和真 Formless SKY6 2022

山本和真 Formless SKY7 2022

山本和真 個展「Formless Sky」展示風景より

 下北沢アーツは、山本和真の個展「Formless Sky」を開催している。

 山本は1998年東京都生まれ。現在、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻に在学中。現代的なコンセプトと卓越した画力で早くから注目され、個展やグループ展などで積極的に作品を発表している。

 山本はこれまでインターネットでときに露悪的に拡散されるミームやホラー映画などから着想を得て、愛らしさと不穏さを共存させた作品を制作。有名キャラクター、見覚えのある広告表現、神話や宗教などから幅広いモチーフを用い、ポップでありながら居心地の悪い画面をつくり出している。

 本展では初めて単一のシリーズ「Formless Sky」からの作品を展開する。晴れた空に同化するような人型のダウン、そこにカラフルなフルーツが浮かぶ一見明るい絵画空間は、しかしそこに爽やかな空に得体の知れない存在と毒々しいまでに鮮やかな果物が浮かぶ。そのインパクトにもかかわらず、不思議と重さを感じさせない画面は、現代的な感覚で描く山本の作品の特徴のひとつであるといえる。

 マティスやカラヴァッジョ、またトランスアヴァンギャルディアやドイツ新表現主義、最近は歌川広重などの浮世絵にも影響を受けながら、新しい表現を模索し続ける山本。以下のステイトメントを出している。

「ダウンは正体がわからない神のようなイメージ(常に移ろい形が定まらない空と雲、雲の上の存在であり、人型だけど人間ではない)人間の上空で観察する存在。動物から虫、人間も老若男女が好きなフルーツ。自然に発生した甘さとカラフルで個性のある見た目の果物を使い、鑑賞者を誘引する。

メインビジュアル《Formless SKY1》の手の印は命を引き延ばす「普賢延命法」という呪法の印相。人間ではない何かが不老不死という人間が求め続けている生命の概念を覆す力を扱って、鑑賞者(人間)を誘い込んでいる。空に紛れ姿が不明瞭な絶対的な力を持った、人間よりも高次な存在であることを意識させる恐ろしさと不気味さ。そこに作られた安全のような、ハリボテでカラフルなフルーツの異質さで不安定な奇妙さを描きたかった。」