伊勢周平

　独自の絵具を開発し、素材の特性から解放された制作の自在性を体現してきた伊勢周平の個展が開催される。

　伊勢は度々、作品にタイトルをつけることを拒み、自らの制作やコンセプトの所在を探られることや言及されること、あるいは分かられることを回避してきた。《Untitled》とタイトルづけする行為や受け手が自由に解釈することを奨励するアーティストからの優しいギフトとは異なり、証人として、持論や雰囲気ではない史実、事実関係に基づいて自らを位置づけ裏付けることの重要性を理解し続けようとする作家の姿勢の現れとなっている。

　本展では、大きさやスタイルの全く異なる新作群を簡素に配置。作品ひとつひとつの存在感と、作家が求めてきた絵画のイメージを感じとりたい。