EXHIBITIONS

Paul Hunter Speagle「Not At The Dinner Table」

JPSギャラリー東京
2022.10.23 - 11.20

Paul Hunter Speagle Meanwhile...How are you doing? We are fine.  2022
アーティスト、JPSギャラリーによる提供

Paul Hunter Speagle A world issue in a domestic situation. 2022

Paul Hunter Speagle A race to the mirror for truth and authenticity 2022

Paul Hunter Speagle Rock-em Sock-em 2022

Paul Hunter Speagle Back to the past 2022

Paul Hunter Speagle I’m in some shit now 2022

 JPSギャラリーでは、ポール・ハンター・スピーグル(Paul Hunter Speagle)の東京初個展「Not At The Dinner Table」を開催する。

 アメリカノースカロライナ州で⽣まれ育ったポールは、世界的な問題についての過剰なメディア報道で飽和状態にある家庭を親密な視点で⾒つめた新しいペインティングシリーズを制作。無限に続くニュースへのアクセスが、いかに⼈間同⼠のつながりやコミュニケーション、家族の価値観や⼈間関係を損なうかを指摘した作品は、視聴者が⾒過ごしたり感情的に鈍感になったりしている事柄に新しい洞察を与えてくれる。

 本展のタイトルにある「Not At The Dinner Table」は、政治、宗教、セックスなどの話題が家族の夕食時の会話にふさわしくないとして、ポールが育った家庭で口にされてきた言葉だ。作家はまた「the root starts with our family」と信じており、その鮮やかな⾊彩で描かれた⾼揚感のある絵は、⾒る⼈の意識を⾼め、前向きな変化をもたらす対話が⽣まれることを期待している。

 ポールは、ポップカルチャーから歴史的、宗教的な象徴まで、⼈々の意識のなかにある⾝近なものを利⽤し、10年以上前にあったものを新たに混ぜ合わせ、複雑な物語を持つ絵画を制作する。絵画のなかの題材やモチーフの親しみやすさは意図的なもので、絵画がそれ⾃⾝を知らせ、見る者の解釈を促している。

 例えば「Back To The Past」の作品では、ハリウッド映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を利⽤し、保守的な思想の⾼まりによって女性の権利のための戦いが⼤きく後退していることを表現。作中で、デロリアンというタイムマシンに乗るために並んでいるのは、過去100年間のアメリカの各時代のステレオタイプな服装をした女性たちだ。

 そして、⼩さなスケールの絵画は、鑑賞者に親密な体験をもたらし、それぞれの絵画の内容を吟味するために⽬を凝らすことを余儀なくさせ、私たちが⽇々直⾯している⼤きな問題に⽬を向ける必要性を再確認させてくれる。

「明るい⾊と暗いイメージの対比は、⼈⽣の現実と私たちの住む世界を表現しており、まさに残酷で美しい」と語るポール。個々の作品はそれ⾃体で完結した物語だが、⼀緒に⾒るとより⼤きな物語が浮かび上がる。ポールの作品は、私たち自身の家庭の問題を解決することで、世界中に前向きな気持ちを広げられるということを示唆している。