マン・レイと女性たち

　20世紀を代表する芸術家のひとり、マン・レイ。その展覧会「マン・レイと女性たち」が、神奈川県立近代美術館 葉山に巡回する。

　マン・レイは、絵画やオブジェ、映画などジャンルを超えて活躍し、1920年代から30年代に成熟期を迎えつつあった写真という新しいメディアの可能性を追求した。ウクライナとベラルーシ出身のユダヤ系の両親のもと、ニューヨークで育ち、画家を志した20代から本名のエマニュエル・ラドニツキーを改め、「マン・レイ」と名乗るようになった。

　既存の価値観を破壊するダダの洗礼を受け、1921年にパリに移住。写真スタジオを設けると、自らが参加したシュルレアリスム運動の活動記録や作品写真、恋人や友人たちのポートレイト、ファッション写真などを手がけた。多岐にわたるその作風は、レイヨグラフやソラリゼーションのような実験的な技法と相まって、独創的な表現世界を生み出した。

　本展は、とりわけマン・レイのまなざしがとらえた「女性たち」に光を当て、240点余の作品から創作の軌跡を追うもの。芸術家として歩み始めたニューヨークから、シュルレアリスム運動に参加し写真活動を開花させたパリ、第二次世界大戦を逃れ移住したハリウッド、そして晩年に再び戻ったパリまで、その生涯をだどりながら、当時の最先端をゆく個性豊かな女性たちがマン・レイの視点でどのように写し出されたのかを紹介する。

　また本展の開催にあわせ、同館独自の小展示として「マン・レイと日本」を特集する。