EXHIBITIONS

近藤高弘「結露」

2022.10.08 - 11.12

展示風景より

近藤高弘 鎮獣 2021

近藤高弘 リダクション 2014

近藤高弘 Wave KT-5 2022

展示風景より

 東京画廊+BTAPでは、近藤高弘の個展「結露」が開催されている。

 近藤は1958年京都府生まれ。人間国宝(染付)の祖父・近藤悠三と父・近藤濶のもとで育ち、卓球で日本代表選手になった異色の経歴を持つ。25歳から陶芸の道を志し、94年には京都市芸術新人賞を受賞、2002年には文化庁派遣芸術家在外研修員として、エジンバラ・カレッジ・オブ・アート・マスターコース(イギリス)を修了した。

 近藤は当初、伝統的な染付作品を制作していたが、その後、金属や鋳造ガラスなど新しいメディウムを取り入れ、独自の造形表現を確立した。93年に、陶にプラチナ、金、銀、ガラスの混合物を粒状に結晶化させるオリジナル技法「銀滴彩」(特許取得)を生み出す。磁器に繊細な煌めきをもたらし、表面の雫に様々な表情を与えるこの技法は、土を媒介として、火のなかから水を生むことをコンセプトとしている。

 本展では銀滴彩の技法に焦点を絞り、水をテーマに制作した「Reduction」「Wave」など、旧作と新作合わせて十数点を展示する。

 とくに、東日本大震災の衝撃から制作された坐像「Reduction」は、ボストン美術館やギメ東洋美術館など5つの美術館に収蔵された作品だ。また中国・洛陽博物館の協力のもと、唐三彩の鎮墓獣を型取りし、それを銀滴彩で再現した作品を、新たな試みとして発表する。