EXHIBITIONS

水野櫻子「Unknown Cosmos」

2022.10.15 - 11.05

水野櫻子「Unknown Cosmos」より

 CLEAR GALLERY TOKYOで、水野櫻子による個展「Unknown Cosmos」が開催される。

 水野は1997年東京都生まれ。女子美術大学附属中学校・高等学校、武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。2019年より美術家・野老朝雄のアシスタントを務めている。

 水野は、日常生活のなかで見つけた小さなゴミや虫の死骸などを、採取しその場で封入して記録し、存在を認識されないまま捨てられ、もしくは知らないうちに消えてなくなってしまう小さな物体のかたちをあらわにする。鑑賞者は、その小さな何かわからない物体をまじまじと観察し、個性的なフォルムや、思いがけない色彩から、これまでそこには存在しえなかった物語を想像することとなる。水野の作品は、見るという行為が同時に見えないものを認識するということを示唆している。

 本展について次のステイトメントを出している。

「私の周りに絶えず存在する、小さきもの。スープに浮かぶ葱、頬に落ちた睫毛、やわらかな塵、窓際で死んでいる蜘蛛、消しゴムの屑、キャンディーのかけら。日常生活における残滓はそれ自体目に見えるか見えないか程の小さなボディであり誰も知らないどこかで生成されまた知らないどこかへ忘却されてゆく。その僅かな隙間に自ら介入しそれらを拾い上げ圧縮し封じ込めることで、その存在は顕わにされる。

オブジェクトの一つ一つは、それぞれが嘗ての役割や記憶から離れ新たな生を、死に向かって或いはまた別の生に向かって、内包する。それはまるで私の部屋の隅で自らの身体が消失されゆくのを待っているかのようである。人間によって容易に邪険にされ得るが、『生まれて死んでいく』という自然の摂理に則ってこの世界に存在しているそれらの姿は私達人間よりも遥かに慎ましい。

出会ってきた小さき物物を通し、抗うことのできない大きなエネルギーの中で一縷の光を放つ些細な瞬間や多種多様なストーリー、パーソナルな記憶、宇宙(コスモス)はそのようなことで構成し得るのではないかと自身の部屋の中で私は想像する(水野櫻子)」。