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小森紀綱 個展「灰色の輝ける贈り物」

小森紀綱 灰色の輝ける贈り物

小森紀綱 広大な闇

 小森紀綱による個展「灰色の輝ける贈り物」が銀座 蔦屋書店(インフォメーションカウンター前)で開催されている。

 小森は1997年鹿児島県生まれ。住職の父とキリスト教を信仰する母のもとに、豊かな宗教観に囲まれた環境で育つ。現在はアーティストとして徹底した考察と準備のもと、古典絵画の文脈と諸宗教のアトリビュート(*)を引用することで独自の世界観を表現している。

 2021年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻卒業した小森は、在学中にシェル美術賞に入選、22年には「VOCA展2022」大原美術館賞を受賞。制作活動に励むなか、大学在学中に僧侶となるための修行で高野山専修学院にて得度を受けた。

 本展で発表する作品は、カナダ出身の小説家アリステア・マクラウドの短編小説集『灰色の輝ける贈り物』全8編を1編につき、1点の作品で表現する。

 短編集を読んだとき、自分が制作するうえで目指す感覚に近いものを感じたと語る小森。今作では読書感想画のように場面を描くというよりは、自身のフィルターを通して変換した感覚をキャンバスに構成した。

 本展は、銀座 蔦屋書店のブックコーナー近くのインフォメーションカウンター前で行われ、多くの書籍に囲まれた空間ならではの展示となる。

*──西洋美術において伝説上、歴史上の人物または神話上の神と関連付けられた持ち物のこと。