EXHIBITIONS

国立新美術館所蔵資料に見る1970年代の美術—— Do it! わたしの日常が美術になる

国立新美術館 ANZAÏフォトアーカイブ 1970-1979 © Estate of Shigeo Anzaï

国立新美術館 ANZAÏフォトアーカイブ「グループ361° 多摩川、東京」 1973 © Estate of Shigeo Anzaï

国立新美術館 ANZAÏフォトアーカイブ「リチャード・セラ 《To Encircle Base Plate Hexagram, Right Angles Inverted》設営風景 東京都美術館」 1970 © Estate of Shigeo Anzaï

国立新美術館 ANZAÏフォトアーカイブ「菅木志雄 《状為論(為相)》 常盤公園、東京」 1977 © Estate of Shigeo Anzaï

第6回「精神生理学研究所」原本 1970

島州一 南側 記録写真「点展」戸塚、神奈川 1973

 国立新美術館は「国立新美術館所蔵資料に見る1970年代の美術—— Do it! わたしの日常が美術になる」展を開催する。

 1960年代後半以降は、写真や映像、印刷物や郵便による通信、イヴェントやパフォーマンスなどにより、芸術の動向が多様化した時期にあたる。その背景には、1964年の東京オリンピック、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)を経て、日本社会が高度経済成長を遂げ、物質的な豊かさを取り戻すとともに、映画、テレビをはじめとするマスメディアの変遷を経験したことが挙げられる。同時に、2度にわたる安保闘争や公害問題などより、社会の矛盾や既成の共同幻想の虚構性があらわになり始めた時代でもあった。

 本展では、国立新美術館が主要資料として扱っている安齊重男(1939〜2020)の撮影による記録写真をガイドラインに、同館のアーカイヴに所蔵されている美術関連資料を紹介する。

 展覧会が終われば解体されるその場限りの作品やパフォーマンスなどの表現を追い、安齊は作家たちの伴走者としてシャッターを切った。その記録は現代で、当時を窺い知ることのできる証言として解釈され、流通し続けている。また、当時の若手作家たちは身体や身近な素材を用い、それをコピー(ゼロックス)やヴィデオなど自主的に複製できるメディアで記録するという、簡易な形式で多くの作品を残した。

 本展では安齊がとらえた70年代の美術動向を根底としながら、当時の作家たちの制作意識や発表方法の広がりといった点に着目することで、現在に通じる資料の読みの可能性を探る。