EXHIBITIONS

小泉遼「LOCUS」

2022.09.17 - 10.01

小泉遼 Locus #14035222 2022

 SH GALLERYでは、小泉遼の個展「LOCUS」を開催。新たな絵画シリーズ「Locus」と、「enso」シリーズを発表する。

 小泉は、2016年よりカリグラファーとして活動し、19年にカリグラフィーの基本線を円状に連続的に描く「enso」シリーズを発表。以後、構図やメディウムを探求しながら絵画として発展させてきた。

「enso」は、禅など東洋的な思考に影響を受け、修練にも見える反復的な行為で構成された絵画だ。刹那的に描かれるモチーフが連なっていくことで、いまという瞬間がキャンバス上に記録され、過去・現在・未来、そして無限へのつながりが連想される。

 今年から小泉は「Locus(軌跡、力の中心)」シリーズの制作を開始。色彩の偶発性を取り入れつつ手がけた「Halo」シリーズに続き、新たなシリーズでもアメリカの抽象表現主義、日本のもの派や具体、韓国の単色画といった、抽象画の美術史の影響が反映されている。

 また「Locus」シリーズは、「enso」から引き継ぐモチーフの反復が最下層に描かれ、画面を埋める色彩で包まれている。そして、絵画を横断するラインによって、モチーフのフィールドの向きが変化しており、ラインによってひとつのフィールドが分断されたのか、もしくは2つ、3つのフィールドがラインにより結合されたかのようにも見える。

「Locus」の画面左部に描かれる文字のようなモチーフは、書道やグラフィティを想起させるが、可読性はなく油彩(オイルスティック)で描かれた激しいタッチの痕跡として残されている。このように今回のシリーズは、分断と結合、動的と静的、美術とストリートの文脈、西洋と東洋といった両義的な表現を示す。

 小泉は「LOCUS」展について、「身体的な反復のプロセスをキャンバス上に残すことで、時間的な感覚、そして絵画と鑑賞者との空間的な出会いの感覚を感じて欲しいと思っています」とコメントしている。