理想の書物

　群馬県立近代美術館では、展覧会「理想の書物　―英国19世紀挿絵本からプライヴェート・プレスの世界へ―」が開催される。

　18世紀末から19世紀のイギリスは、社会の構造が変化して読書の需要が高まっていた時代。当時、挿絵を加えた美しい書物が人気を博し、色刷りの絵本も登場した。そして19世紀末には、ウィリアム・モリス（1834～1896）を筆頭に、改めて理想的な美しい本をつくろうとするプライヴェート・プレス運動が起こり、本づくりにおけるひとつの理想型が生まれた。

　本展覧会は、イギリスの美しい製本の土壌として、19世紀イギリスの挿絵本を中心に紹介する第1部と、プライヴェート・プレスの出版物に焦点を当てる第2部とで構成。ウィリアム・ブレイクやウォルター・クレイン、オーブリー・ビアズリー、ジョン・エヴァレット・ミレーらが挿絵を手がけた出版物、ケルムスコット・プレス刊から刊行されたジェフリー・チョーサーの著作集など、約100点の書物を紹介する。