EXHIBITIONS

内倉ひとみ 個展「Lumière」

内倉ひとみ Lumière(部分) 栃木県立美術館(2012)

 光をテーマに鏡やレンズ、紙を素材とした作品で知られるアーティスト、内倉ひとみの個展「Lumière」がアートフロントギャラリーで開催される。

 内倉は1956年鹿児島県生まれ。82年多摩美術大学院芸術研究科絵画科日本画専攻修了。高校で日本画を習い、大学では日本画の大家・加山又造に師事した内倉は、大学院では現代美術に転向し「もの派」を代表する李禹煥(リ・ウーファン)のもとで学んだ。

 大学院を卒業後、順調に作家活動を重ねていった内倉。しかし他者とは異なる表現を追うことで得られていたオリジナリティに疑問を抱き、改めて自己と向き合い真のオリジナリティの探求を決めるも脱構築していくなかでもう何も描けなくなり、作家としての活動を諦めた時に「光」が見えたという。以降、作品テーマは「光」となり、その表現では作家の恣意性が薄れ、自身の見た世界をそのまま鑑賞者に提示するようなものに変化していった。そして内倉がオリジナルをつくろうとしてたどり着いた先は、外に開かれた自分の姿だった。

 近年はベルリンやパリなどヨーロッパを中心に制作・作品発表を行い現地で高い評価を受けてきた内倉だが、コロナ禍で栃木県那須町に拠点を移し、制作を続けている。

 アートフロントギャラリーでの初個展となる今回は、作家が「光」をテーマに様々な手法と素材で作品表現を試みてきた足跡をたどる内容で構成され、内倉の仕事の現在地を知ることができる。

 作家は自身の作品について、「作品 Lumière の光と人の体内に潜む光の粒が呼応する。人の光は輝きを取り戻し、活性する。体内の光を呼びおこす=生(=一瞬)が輝く」とコメントしている。