EXHIBITIONS

山内悠「夜明け、残像」

PURPLE
2022.08.27 - 09.11

シリーズ「残像」「夜明け」より ©︎ YU YAMAUCHI

 山内悠は自然のなかに長期間滞在し、自然と人間の関係性から世界の根源的なありようを探求している写真家。その個展「夜明け、残像」が、京都のPURPLEで開催される。

 山内は1977年兵庫県生まれ。独学で写真をはじめ、スタジオアシスタントを経て、制作活動を本格化。現在は長野県八ヶ岳山中を拠点に制作を行い、国内外での個展やグループ展に参加している。最新の写真集は『惑星』(青幻舎、2020)。

 本展は、2つのシリーズ「夜明け」「残像」で構成される。ひとつ目のシリーズ「夜明け」には、山内が2006年からの4年にわたり、富士山の山小屋に600日間滞在し撮影し続けた、雲の上の光景が写し出されている。そして「残像」シリーズは、現像やプリントをするなかで時々出会う、撮影した記憶にない写真たちを紡いで見えてきた、意識から外れた世界を浮かび上がらせる。

 会期中の9月3日、9月4日には、山内をはじめ、計17名の作家が参加する「PURPLE -スライドショーと本の納涼祭 -」も開催予定。

「富士山3000メートルの雲の上で不意に撮れた1枚の写真。それを切っ掛けとして山小屋に長期滞在し、そこの環境や自然に身を委ねるように来光の撮影を続けた。刻々と動き続ける雲の表面は自らの鼓動に重なり、現れた光にこの世界の在り方を問いかけられた。そこから旅を続けてきたが、その過程で時々現れる、撮影した記憶がない写真たち。いま、それを他者の記憶と重ね、そこから現れる世界を探している。このように現れたイメージは、意識や思惑から外れ、個という枠を遥かに越えたものではないか。今、頭上に広がる彼方と、自らの内なる彼方を見ようとする。光という物理的な現象から、意識を超えて潜在意識へ、さらに他者と共に集合的無意識に触れ、その向こう側を探りたい(山内悠)」。