EXHIBITIONS

鷲見和紀郎「brilliant corners」

2022.08.26 - 09.25

鷲見和紀郎 Brilliant Corners

鷲見和紀郎 Veil-IV(Dedicated to Cecil Taylor) 撮影=鈴木理策

撮影=鈴木理策

 千葉県在住の美術作家・鷲見和紀郎(すみ・わきろう)の個展「brilliant corners」が、BankART KAIKOで開催される。

 鷲見は1950年岐阜県生まれ。72年にBゼミを修了。三木富雄のアシスタントを経て、76年に渡米し、ニューヨーク滞在を経験。抽象表現主義絵画を彫刻に再解釈したような、ブロンズ鋳造の彫刻、ワックス・インスタレーション、滴る表面を備えて自立する「ヴェール」シリーズ、石膏の質感と台座の構造を合わせ持つ「フズリナ」シリーズ、また人体を彷彿とさせる「ダンス」シリーズなど、触覚に訴えかける表情を備えた造形と多岐にわたる方法を用い、独自の空間表現を追求し続けている。

 本展では、鷲見がこれまで数十年間制作してきた彫刻群が、食卓を飾る料理のように空間全体に配され、様々な音を奏でる森のような空間があらわれる。他方、新作のワックスでできた巨大な造形物は、まるで料理を調理する特大のオーブンのように、これから生まれてくる「創造物」を予感させるという。

 なお本展「brilliant corners」は、池田修(1957〜2022)が最後に企画した3つの主催展覧会のうちのひとつにあたり、生前に次の言葉を残している。

「今回の展覧会では、これまで数十年間制作してきた彫刻群を、食卓を飾る料理のように空間全体に配し、様々な音を奏でる森のような空間を提供してくれるはずだ。他方、新作のワックスでできた巨大な造形物は、まるで料理を調理する特大のオーブンのように、これから生まれてくる『創造物』の予感を与えるにちがいない。ガラスが液体でも個体でもなくアモルファスに存在しているように、鷲見の作品も彫刻(立体)が生まれる前の、柔らかい、優しい、とらわれのない形を、豊かに示してくれるだろう(池田修)」。